夫婦ごっこ あとがき



あとがき

 これにて最終回になります。長いお話でしたが最後までお付き合いくださった方、ありがとうございます。最初はエンディングはAだけで一つだったのですがマルチエンディングとなりました。

 信勝は六〜七割の確率で聖杯を使わない選択をすると思っていたのでエンディングAだけ(みんなとの別れだけ)考えていたのですが、残りの三〜四割の可能性にも想いを馳せて「これはこれで美しいかも?」と気がついたら増やしていました。

 元々、この話は「信長と信勝はカルデアで出会うこれっきり」だから私なりに納得の行く「さよなら」を書くためのものだったのですが、そうすると最後に信勝をどう扱うか。正しいfateなら「聖杯を使わない」からエンディングAのみだったのですが「これ二次創作だしな」とあえて「聖杯を使う」ルートも残しました。

 たった一度だから綺麗にお別れするか、永遠だけど中途半端になるか、どちらも好きな結末です。


設定

エンディングBの世界の信勝

 壊れたテープレコーダーのようなものです。ちょっとだけメモリは持ってるけど、カルデアの信勝の記憶以上の記憶はできない。立体再生アルバムのようなものです。ただ信勝の願いが叶っているので、この信勝は信長に再会すると自分の死の真相を話して謝罪します。記録に近いので意思のようなものはあまり持っていません。

 炎上空間でしか会えないので、信長はどこかで召喚されても会わないまま退去することもあります。会えたら、ラストのように負けたらさようならを言いにきます。



ノッブとカッツ

あれこれ二人の別れについて考えましたが2人があのまま一緒にいる唯一の可能性が存在します。

それはコハエース時空に飛ぶこと!それなら何の制約もない!(ギャグ時空なので)

FGOのノッブはコハエースとレッドラインが混じったような存在だと思っています。本来は笑わないノッブが笑っているのはコハエース成分があるからだと思ってます。
ノッブ公記ではサル以外に笑わないノッブが描かれ、ぐだぐだ帝都ではそのままサーヴァントになったような帝都ノッブが登場します。レッドラインのノッブもこちらに近いです。ノッブ公記を正史として考えてると笑わない方が自然です。
本来のノッブは笑わない、生前のままのノッブとして召喚されるのだと思います。しかしFGOではむしろゲラゲラ笑ってる。なぜか、私は「ちびノブと別れたことでコハエース時空のノッブと混ざった」と思ってます。そんなわけでFGOのノッブもまた一度だけのゲラゲラ笑うノッブなのだと思っています。


愛について

推しの子

書いてる時に推しの子最終回を見た影響が出てます。
一巻から言っていた「嘘はとびきりの愛なんだよ」が割とちゃんと回収された。
愛は嘘なのか。
推しの子のこのセリフは愛することも愛されたこともないアイが「愛してるという嘘を割と切実な気持ちで言う」と解釈しています

それを考えると「うみねこのなく頃に」というゲームを思い出す。
こんなセリフがある「愛は優しい嘘なのか?」。
ここで言う優しい嘘とは「サンタを信じる子供に「そうだね、サンタさんはいるよ」と言うこと」とか「必死で作ってくれたケーキが不味くても「いや、美味しいよ」と嘘をつくこと」的に解釈してます。

両方とも愛と嘘には深い関係があると書いてます。不思議。
だから本編には嘘は祈りでもあると書いてみました。

話はそれますが「愛とは気付かれないもの」であると思います。大切なものほど目に見えない。失って初めて大切さが分かるなんて人間の心理は残酷な構造をしています。
大体、人間の脳構造は残酷です。幸福はすぐ当たり前になって気付かなくなり、不幸はいつまでもどんなに小さくても気になる。幸せはすぐフェードアウトして、不満はいつまでも目につく。こんな生き物が幸せになるなんて本当に難しいと思います。

 2025年1月14日