お題 「SM」
暗い暗い、ここは光も届かない場所。
そこで俺はかすかな明かりの漏れるわずかな場所にいる大切な人を見た。
「・・・・・・ヴォルフラム」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・コンラートか?」
返事をしてくれて驚いた。
もう二度と会話などしてもらえないと思っていたから。
ヴォルフラムはその場所に立っていた。いや、違う。正確には「立たされて」立っていた。両腕を真っ黒なリボンで拘束されてそのまま天井に固定されていたから立たされていたという方が正確かもしれない。
ふと自分の愚かさに可笑しくなった。わずかな明かりでも彼にふさわしい場所をとこの地下室で一番明るい場所を選んだのに両腕と同じく真っ黒なリボンで隠されたヴォルフラムの両目には決して光など届かないだろう。
「・・・・・・お前はこれで満足なのか?」
今度の驚きはさっきの比ではなかった。それとも、俺が正気を失ってしまったのだろうか?ヴォルフラムの声に気遣いの響きが含まれているはずなんて・・・・・・。
「・・・コンラート?どうしたんだ?」
今度こそ間違いなく、俺を心配する声だとわかって目眩がした。
真っ暗な場所、理不尽に身動きと視界さえ奪われて、好いてはもらえていなかったかもしれないけど少なくとも信頼はしていてくれたものからこんな風に裏切られて。
それでも、お前は
「・・・・・・ヴォルフラム」
そっとふれるつもりだった。ほんの頬に触れてその柔らかさを確かめる程度のつもりだった。でも彼の息づかいを少しでも感じると俺は全身で彼を感じたいと欲して、彼の裸の腹に口づけて両腕を腰に回して抱きしめていた。
頬を伝わってくる彼の熱は、いつものように俺を暖めて、それ以上に俺を捕らえて責めているようだった。
(俺がヴォルフラムを守るつもりだったのに、俺が一番苦しめている)
額に彼の涙がこぼれているのを感じながら、それでも彼を手放す気にはなれなかった。
(・・・・・どうしてなんだ、どうしてこんなことをする。
お前はぼくの気持ちを考えてなんていないだろう。
ぼくが優しいからとでもぼくがお前を責めないことを勘違いして・・・・・・・
・・・・・・いや、違うな。
勘違いじゃない、お前は信じられないんだ、自分自身が好いてもらったり愛されたりすることを。
だからどんなに言っても自分だけが愛しているようなことをする。
こんな風に閉じこめなくったって、どこにだって行かないのに。
どこにも行ってほしくないと思っているのはぼくなのに)
ちょっとわかりにくいですね、最後のモノローグはヴォルフです。
えーとこんな感じです。できるだけ忠実にしようとしたんですが、ヴォルフの腕が上に固定されていることだけ捏造させていただきました。
お題 「好き」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ!お、おい、コンラート!?」
「ん?なに?」
「なにって・・・お前何をぼーっとしているんだ!」
「別にぼーっとなんてしていないよ。あ!ダメだろ、目を開けちゃ」
「何を言って・・・・・・あー!お前、目を開けているじゃないか!?」
「うん?キ
スしようとしたらヴォルフが素直に目をつぶって待っててくれたから、
かわいいなあずっと見ていたいなと思って思わず見つめてたんだけど?」
「・・・・!!ふ、ふざけるな!
ぼくはちゃんと目を閉じたというのに、お、お前はそんないい加減なことをしていたのか!?」
「いや、最終的にはちゃんと目を閉じてキスするつもりだったんだけど、ヴォルフラムが俺にキスされるために素直に目を閉じてくれるなんて滅多にない幸せだと思って心に焼き付けておこうと」
「そんなことをはしなくていい!!何を考えているんだお前は!!」
「うーん、でも日頃はヴォルフに素直になんてしてもらえないからっていう気持ちだったんで、感動してて」
「ぐっ・・・・・・・・・・・こっちが目を閉じてどんな気持ちで待ってたなんて知らないで(ぽそ)」
「え?何か言った?」
「い、言ってない!何も言っていない!」
「はいはい、言ってないよ。
そうだよなヴォルフはずっと俺からキスされるのどきどきしながら待っていてくれたのに待たせて悪かったな、ごめんごめん」
「聞いてたんじゃないかー!・・・・・・って、コンラー・・・・・・ん」
「・・・・・・好きだよ」
初めてのキスはお互い目を開いていたけど、桃色に染まったヴォルフの顔が見られたのだから、もう十分幸せ。
はい、こんな感じです。絵の場面は三男が目を開いて次男のやたらと幸せそーな顔を発見したときです。
ちょっと照れている三男に対して次男はやたらとうれしそーな表情に見えたんです。
はい、もちろんこの会話はお互いの顔がめちゃくちゃ至近距離のまんま行われています。わーお。