ユーリと魔力
















ユーリと魔力の関係について考察します。

長い!な・が・い・で・す。それでも良ければご覧下さい。







・魔力とは


魔力とは魔族にだけ扱える力で、持って生まれた魂の資質のみでその力が決まっています。

また、魔術は操る対象の属性と何かしらの盟約を結ばないと使えないようです。

ユーリは盟約を結んだ!というはっきりしたシーンはありませんがヴォルフラム相手に水の魔術を使い、その後

も水に関する魔術を多用しています。もしかして、魔力が強ければ盟約を結ばなくてもいいのでしょうか。

次男が途中で飲んだ水がきっかけになったのではと指摘していますが、盟約ってあんなものなのでしょうか?

それと水を持ってきた少女は何者?謎は深まるばかりです・・・。


魔族の土地でだけしかほとんどの魔族は魔術が使えません。これは魔族の土地でないと魔族に従う粒子が少

ないせいです。「大脱走!」ではスヴェレラで三男がこんな法力の強い土地で魔術が使えるのはツェリかジュリ

アくらいと言っています。眞魔国三大魔女のアニシナを挙げていないということは眞魔国で三本指に入るアニシ

ナでも無理だということでしょうか?じゃあ、やはりあんなところで強力な魔術が使えるユーリは特例でしょう。ユ

ーリの魔力はあらゆる面で特例です。


しかし、魂の資質のはずなのにアーダルベルトは魔力を捨てたあげくに法術まで身につけています。

魔力を捨てるってことなんて可能なんでしょうか?ますます謎だ・・・魔力って一体ナニ? 







・ユーリの魔力に関して



ユーリは魔力が多分眞魔国で一番強いのでしょう。


ツェリさまやアニシナより強いなら、多分眞王くらいしかユーリの魔力に敵う魔力の持ち主はいないでしょう。

しかし上様モードに表れているようにユーリの魔力には極端なムラがあり上様モードにならない限りちょっとした

治癒ができるくらい。上様モードとて自分の意思そのままでは操作できていない。上様のおもくままである。記

憶にも大抵は残ってすらいない。


と言うわけでユーリの魔力に関しては上様モードは避けて通ることはできそうにありません。

上様モードと魔力について考察してみます。









・上様モードと魔力


上様モードになるときは以下のように





耳の奥で、誰かが短く囁く。
やっと・・・・・・。
やっと、なに?
それっきり、意識が。

「今日からマのつく自由業!」 p151より



三半規管のもっと奥で、懐かしい歌が一節だけ聞き取れた。
呼んで・・・・・・。
呼んで、誰を?
その先は、わからない。

おれの中ではその間ずっとポーリュシュカポーレが流れていた。

「今度はマのつく最終兵器!」 p93 p100 より



脳細胞のたった1つが、この上なく美しい人の名を記憶している。
あなたを・・・・・・。
あなたって、誰?
その先は、わからない。

おれの中ではその間ずっと、美しく青きドナウが流れていた。

「今夜はマのつく大脱走!」 p165・166 p179



魂の襞から記憶となって姿を現し、おれを守護してくれていた人が、光の形で微笑んだ。
やってごらんなさい。
さあ。
そんなのは無理だ。おれだけで世界を歪めるなんて、そんなことまだできるわけがない。
ではどうしたいの?
誰かの力を借りたいの?
「違う」
自分の力で動かしたいんだ。自分に力が欲しいんだ。

おれの中ではその間ずっと、燃えよドラゴンズが流れていた。

「明日はマのつく風が吹く!」 p173 p179






長くてごめんなさい。引用長いなぁ・・・・・・。

常に上様モードになるときには


・誰かの、だいたい女性の声が聞こえる。

・耳鳴りのようなものがする?

・一番最初のものを覗いて、上様モード中、もしくは休息中は音楽が頭の中を流れている?みたい。


この女の声はおそらく、ジュリアでしょう。「明日マ」では「魂の襞から」なんてダイレクトな記述がある。

結構意味深なようなことをいわれたあと、ユーリは意識がなくなる。あと、真っ白という描写が多い。





この4つの上様化の中で「明日マ」ではちょっと違うものと思われます。違う点としては


・ユーリが声の主と対話している。

・行動が誰かを倒すではなく、人助け

・目が覚めたあとに意識が途切れずにおぼろげな記憶が残っている。

・「正義」の文字じゃなくて温泉マーク(笑)


が挙げられます。


また、ユーリは最初に上様モードになったときは三日間寝こけてましたが、次は二日。

三回目は詳しくは分からない下れど半日くらい?四回目に至っては半刻だけ。

どんどん休息に必要な時間が減っています。どういうことなんだろう。



「明日マ」ではユーリが簡単な治癒を使えるように?なっているけれどこれは村田の言っていた、




彼自身が気付いていないだけで、有利はもう自分の力で行き来しているんだ。

「これがマのつく第一歩!」 p42




ということなのだろうか?

では、この辺りがユーリが自分で魔力を使えるようになったとき?魔力が使えるようになると記憶が残るとか?

「風が吹く!」以降ユーリはコンラッドの離脱、「箱」の問題と色々大変ですが、面白いことにこれはユーリが

少なくとも眞魔国では十六歳になって成人したあとなんですよね。地球換算の十六歳ですが。

魔族として成人したこととの関連性は謎ですが、上様モードはこの後変化してゆきます。







・上様モードの行方



「明日マ」以降では上様モードが変化しています。




細く眇めた片目が黒で、その黒の中央、針を突いたような一点に、感情を煽る何かが揺れた。
そこを見ちゃいけない、見ちゃいけないんだ。その一点を見つめたら・・・・・・。

前回は女性の声が聞こえたのに、今日はもうあの人は何も教えてくれない。
手を伸ばしても白い煙に触れるばかりで、どこまでいっても先がない。
まるで白い闇の中を、手探りで動いているみたいだ。
遠くから和太鼓のバチを鳴らすような、威勢のいい啖呵が聞こえてくる。
なんだあいつ、元気だなと呆れかえる。脱力して頬が弛んでしまう。おれはこんなにくたくたなのにさ。


おれの中ではその間ずっと、ベサメムーチョが流れていた。


「きっとマのつく陽が昇る!」 p144・145 p150




もうジュリアの声?は聞こえないようです。記憶の襞が閉じちゃった?

それとも自分で魔力が使えるようになったから、なのでしょうか?手助けはもういらないでしょう、と。

しかも、どうやら上様の声が聞こえてるみたいです。前回からですが上様とユーリは別人なのかな。

しかし、このユーリはなんか疲れています。魔力を使うからなのでしょうか?

この辺りからユーリは上様化している間、白い闇?みたいな空間にいるようになります。なんだろう?


あと、一番上の記述にある黒い瞳の持ち主のムラケン。

今回、ユーリは村田のコンタクトの飛んだ素の黒い瞳を見たとたん上様化しています。

メイドさんのピンチがあったとはいえ、感情の爆発以外で上様化するきっかけを作ったとなると

村田は何か上様化するきっかけになる?

あるいはユーリが魔力を使うきっかけ、手助けとなる?

今回はちゃんと音楽が聞こえているようです。正義の文字も忘れません。





この直後には次男を撃った武器を見て、上様化せずに魔力を使っています。



悲鳴を上げている。
どこもかしこも痛くて、手も足もちぎれるほど引っ張られて(中略)脳を焼かれるような。
けれど叫んでいるのは痛みのせいではない。
これは多分怒りだ。
視界は一方で真っ白、一方でクリアだ。
(中略)
また、彼が俺から離れてしまうと、おれは叫ぶことができなくなる。
叫ぶことができなくなれば怒りはなくなるが、怒りがなくなれば自分ではなくなってしまう。


「きっとマのつく陽が昇る!」 p160〜161




ユーリ、かなり痛い、というかダメージを受けています。魔力の消費が激しいせいでしょうか?

それとも、怒りで痛みまで感じているのでしょうか?

なんにせよ、怒りを爆発させているにもかかわらず上様化していません。

結構、正気のまま、記憶も飛んでないっぽいです。こんなことは初めてです。

あと、一度以上強い魔力を発動させたのはこれが初めてですね。

また、村田についても上記のようにやっぱりユーリが魔力を使うときに関係がありそうです。

音楽については分かりません。どれくらい眠っていたかも分かりません。



次は「地の果て」の解放後に



トランス状態に入ってもいいくらいに感情は高ぶっているのだが、
これまで導いてくれていたあの声は、今日に限って一言も囁いてくれない。
ふと肩をつかむ村田の手を意識しかけて、おれは静かに自分に言い聞かせた。
(中略)
誰かの力を借りたいわけじゃない。自分でコントロールできるはず。


「いつかマのつく夕暮れに!」 p182




再び上様化しません。もう、上様化しなくても上記のように自分でコントロールできるようになったのでしょうか。

記憶も飛んでなさそうだし、上様化もしていない。

ユーリが強く望めば、ユーリの望んだように魔力を使えるようになっている?

そして、やはり背後には村田が・・・・・・。

この直後は倒れる暇もなく、そのままヴォルフラムに救出されます。








このあとに「テンカブ編」がはじまりユーリは神族の少女、フレディの法術の炎を消すために魔術を使います。

今回も上様化しません。

というか、カロリア編では上様になったのは結局二回(ギルビット邸・テンカブ決勝戦)だけです。




もうあの女性の声は聞こえない。もうずっと、誰も導いてはくれないのだ。
(中略)
おかしい。いつもと何かが違う。奇妙な言葉遣いの「彼」が現れない。
耳元でハイテンションなBGMも流れないし、右手に扇子を持ったような感触もない。
(中略)
これがおれか!?あの暴発モードのおれなのか!?



「天にマのつく雪が舞う!」 p181〜182





このあと、ユーリはフレディを説得して法術の行使をとめて、魔術で炎を消火します。

どうも、説得中にユーリは上様化せずにフレディを助けたいという思いがあり、それにフレディが答えたから

上様化せずにすんだという感じです。もしかして説得に失敗したら上様になっていたのでしょうか?

ユーリ自身もこのときはいつもと違うと強く思っています。

ということは上様とユーリはやっぱり別人?







・これって上様?




テンカブで決勝戦となったときアーダルベルト相手にユーリは久しぶりに(二冊ぶり?)上様化します。

しかし、いつもより異なります。邪悪だし。グランツ家排除なんてまずユーリはいわないだろーよー、な

ことを実行する気満々です。

文字も「正義」じゃなくて「止義」になってるし。一本の線の違いで内容が違うように上様も違う。


上様モードに入る前も何か違う感じです。



苦しさに紛れてふと地上に落とした視線の先には、自分と同じ二つの瞳があった。
(中略)
真っ暗なトンネルに一直線に突っ込んでいくみたいだった。
白く気怠く靄のかかった闇とは違う。リズムのいい音楽も聞こえない。


「地にはマのつく星が降る!」 p53



ついに上様化したのに音楽が聞こえなくなってしまった・・・。

ユーリは上様化しているときは「白い闇」にいると感じているんですよね。しかしこの時は真っ暗だと感じ取ってい

る、どういう違いが・・・?

あと、村田がやはりここでも関わっている。村田と目があった途端どうしてもなれなかった上様モードに

入ってしまった。「カロリア編」に入ってからユーリは村田がきっかけになってばかりです。

村田はユーリが魔力を使おうとしているのを止めようとしているようですが・・・。


村田はこの後すぐにユーリが危険だと主張しますがその内容をまとめると


・村田が近くにいる。魔王とは破壊する関係?魔力の質を変えてしまう。

・ユーリはもう地球に長く帰っていない。

・ユーリらしくない言動が目立つようになっている。ユーリの中で何かが起きている?


要するに、魔力切れということなのかな。

魔力が無くなると魔力の質が変わってしまいユーリに取り返しのつかないことが起きると解釈していいのかな?

ユーリの魔力って地球で回復しているのかな?だから、毎回スタツアって帰らないといけない?

確かにこの時はユーリは異世界にきてから魔力を使うのは五回目でこれまでとは魔力の消費は違いすぎる。

村田とユーリ(魔王か?)の関係はよくわからない。

村田は大賢者の魂と四千年の記憶を持つものなのですが、だとしたらユーリはどういう関係にあたるのか。

魂つながりなら、ユーリは眞王の生まれ変わり?とも思いましたが眞王廟にいるので却下。

じゃあ、眞王の選んだ魔王と大賢者の魂を持つものの関係?それとも、ユーリの(またはジュリアの)魂と大賢

者の魂の関係?

「破壊するために作られた関係」と村田は言っていますがなんのために、誰が?やっぱり眞王か?

ユーリらしくない言動は目立っているが、ムラケンでさえ心当たりはないのだろうか・・・?



村田の心配は的中し?今回のユーリはいままでの上様とはかなりかけ離れた言動をとっている。

それだけではなく、



「・・・だ・・・」
誰だと問いかけそうになりながらも、コンラッドは口を噤んだ。冷たく、人を引きつけて離さない眼をしている。
だが優しさは、欠片もない。

「地にはマのつく星が降る!」p66



な、なんと一瞬とはいえ次男がユーリをわからないほど変わった!!??

どれだけ豹変しているんだ。ていうか、もうこれはこれはユーリじゃない。人物描写が完全に別人だ。誰だこれ。




そして、この後どうやってか上様モードが解けたわけですが、



おれの中ではその間ずっと、暗闇での拷問が続いていた。

こんなことは久しぶりだった。人間を超えた魔力を発揮しても、ここ数回はうっすらと記憶があったのだ。
なのに今回は何一つ思い出せない。ずっと暗闇の中に閉じこめられていただけだ。あの状態を思い出すと、不安と恐怖で身体が震えそうになる。

「地にはマのつく星が降る!」 p73 p77



ヒドイ!!これまでで一番ヒドイ状態です!

しかも、最近は残っていた魔力を使っているときの記憶がすっかりぽんと飛んでいます。

ユーリの中では今までで最悪の状態だったようです。リズムのいい音楽から暗闇での拷問って・・・あんまりだ。

しかも、意識はなかったのに「暗闇の中に閉じこめられている」と感じると言うことは・・・・・・・ユーリの意識を閉じ

こめて別の何かがユーリの身体を支配していたということなのか?




・聖砂国編



「カロリア編」とは打って変わって、ユーリは魔力を殆ど使っていません。

一度、ヴォルフラムが死んだと思ったときは上様モードになっていますが不発に終わっています。

やはり、「カロリア編」では魔力を連発で使えたのは村田が傍にいたことが大きいのでしょうか?

確かに、「聖砂国編」ではユーリが魔力を使わないとどうにもならないという場面は「カロリア編」より少ない。

聖砂国に入ってからは法力が強い土地だろうから魔力も使いづらいんだろうけど・・・。

一度聖砂国でイェルシー相手に魔力を使いそうになっていますが、ここで上様化?してしまえばイェルシーを殺し

てしまうと感じてそれに関しては押さえ込んでいます。

ユーリは、あくまで無意識にですが、だんだん魔力の暴発=上様モードを封じ込めることで自分の意思で魔力を

使うようになっていると同時にユーリ自身の中に起きている何かによって引き出されている冷酷な人格を押さえ

ようとしている、と感じます。

ユーリは徐々にはあるが魔力を使いこなせるようにもなっているが魔力の(人格の?)暴走も大きくなってい

る・・・・これは何を意味しているのか?





古いレコードか年代物のラジオから流れるクラシック、ソプラノ歌手が歌うオペラみたいな音楽が、とこか遠くで流れている。(中略)。
誰かが歌っている。頭の中で、誰かが。


「箱はマのつく水の底!」 p67





「聖砂国編」の「暗黒サラレギーと楽しい地下道探検ツアー」では久しぶりにユーリがジュリアらしき人物と会っ

て?います。

失明してしまったユーリ。ショックのせいなのか・・・・それと盲目だったジュリアの魂の影響なのか?

ユーリは魔力を使っていないのに、このジュリアと会ったときはまた音楽が聞こえています。

ということは、これはジュリアに関する記憶が引き出されるときの現象なのか・・・。






まとめ


あったことを並べるだけであんまり考察になっていなかったのでまとめます。


・ユーリは初めは魔力を使うたびにの(おそらくは)ジュリアの手助け?を受けていた。

・しかし、「明日マ」あたりから記憶がおぼろげに残るようになった。
以後、魔力を使うたびにはジュリアの声は聞こえなくなり、魔力の使い方もそれまでとは異なるようになった。

・「カロリア編」では村田が魔力を使うきっかけになるらしき描写が多かった。

・しかし、同時に上様モードに異変が現れだした。 ユーリがユーリではないものに支配されている?





それは、長くなりすぎましたので分けて、続きはユーリと魔力(2)で考察します。