「 本当にダメなバスカヴィル

         ~クリスマス編~ 」








 寒い寒い冬の夜のこと、リーオは宣言した。

「ごめん、今回のクリスマスパーティは中止」
「「「えっ!?」」」

 赤と緑の飾りにまみれて、らんらんと準備をしていたバスカヴィルの民は主の言葉に動揺した。

「ど、どどどどど、どうしてですか?」
「兄さん、動揺しすぎ」

 両手いっぱいのクリスマスレシピを抱えるギルバートは弟に窘められる。これはヴィンセントが世話焼きというよりはギルバートの足元ががくがくと震えているせいでもあった。
 彼ほどでないにしても、ミニスカートの赤い服のデザインをいくつもノートに書き上げていたロッティやかぼちゃの七面鳥の焼き方・各種調理方法という本を読んでいたダグも手を止めた。無理もない、クリスマスは来週でパーティは二ヶ月前から計画されていた。

 そして何より、飾りつけの手伝いをしていた新参のバスかヴィるの子供がぽかんと手を止めている。

 その光景にリーオは肩を落とした。彼とてこんなこと言いたくて言っているわけではない。

「率直にパーティをする金が足りない」
「金!?」

 せせこましく切実な通告に倹約家のギルバートはうち震えた。

「でもそんな高価なものは元々使ってないですし・・・・・・」
「先日裏庭で発生したチェインの影響で屋根に穴が空いていると判明した」
「・・・・・・ああ、ゾンビと契約してすぐ退散したアレですか。じゃあ修理もしますし中止ですね」

 ヒイラギの飾りをぽいと捨ててヴィンセントは主に駆け寄った。彼はパーティなんて嫌いだし、クリスマスなんてアヴィスで引きこもってサボろうかと計画していたので願ったりだ。
 あとは主人が遊んでくれたら言うことはないのだが、リーオは従者を華麗にスルーする(直接うっとうしがると喜ぶので面倒なのだ)。

「でも・・・・・・リーオ様」
「みんな、楽しみにしています・・・・・・」

 未練を捨て切れなさそうなロッティとダグ。彼らだけの楽しみでなく、新参の子供のバスカヴィルたちとの慌ただしい日々の中のやっとの交流だったのだ。
 そんなことはリーオだってわかっている、けど彼らを雨水に晒すのは主として看過できない。

「とにかく急な出費で時間と金が足りない、せっかく計画してもらってたけど、とにかく中止!」

 苦々しい声とともにリーオはパーティの準備の場を逃げるように立ち去った。






 だから組織のトップなど向いていないのだ。
 ゴミ捨て場のボロ毛布みたいに惨めにリーオが机に突っ伏していると、昔なじみのシスターは哀れんで湯気の立つカップを傍らに置いてくれた。中身は白湯だった、ちゃんと節約生活に切り替えてくれている。

「本当に中止してよかったのですか?」
「ミセス・フィンまでそんなこと言わないでよ、しょうがないじゃない・・・・・・」

 サブリエ、フィアナの家。表向きは孤児院であることは変わらぬまま、今はバスカヴィルのサブリエ支部となっている。 この場所はバスカヴィルの門やアヴィスにも近い場所でリーオも地理を分かっている。また元々が孤児院であることを生かして行き場のないバスカヴィルの子供を保護してバスカヴィルとして生活し直す場でもあった。

 行き場のない子をアヴィスの近くで集めるにはうってけだったのだ。・・・・・・無論、リーオには苦々しい思い出が詰まった場所だったが、それでもこの家にいる馴染みの孤児たちの行く末が気になり足を向けたのが運の尽き。かつての兄弟たちに別の孤児院を紹介し、あれこれとしている間にこの場所の有用性を痛感し、そのままサブリエ最接近支部とした。

「あの世界崩壊騒ぎでもなんともなってないし、悪運だけはあるのかなこの建物」

 世を忍ぶバスカヴィルの民の新しく覚醒する同胞たちを探すことはいろんな意味で苛烈を極めた。何しろ未覚醒バスカヴィルは子供であることが多い。そこに謎の集団が現れると普通に子供は逃げたし、たまに怪しい赤マント集団が子供を誘拐していると通報されることがあった。

 その点、今は「孤児院のスタッフです!福祉の職員です!」という仮の身分があり、怯えて隠れている子供まで見つけられるという利点もある。なにより誘拐犯と思われて落ち込む部下たちをリーオはあれ以上見なくてすんだ。

「確かに屋根の穴は塞がねばなりません。しかし、クリスマスパーティくらいなんとかなりませんか」

 その位の金はないのか、一応権力者だろう?というミセス・フィンの視線は痛い。ひねた孤児の頃からリーオを知っている彼女はリーオに遠慮がない、そのくせ敬語だけは使われて形だけ上司扱いだけされる。正直粗雑に扱われて方が気が楽なのだが、変なところで一線を引く。
 今はナイトレイのチェイン実験で色々なものを見た経験を元に、元フィアナの家(仮名)でそのまま働いていた。最初は一悶着あったが運営者としては彼女は優秀だった。

 だから金がないという事態の深刻さは分かるのだが・・・・・・色々やりくりを考えて彼女はいくつかアイデアを出した。

「バスカヴィルの儀式とか言って、貴族から経費で落とせませんか?」
「もうやってる、コレ以上は出させると縁を切られかねない。各地に支部を造って、ひどい目あう前に子供たちを保護する巡回スタッフの給料もバカにならないんだよ、人海戦術だから」
「隠し財産とか、ないんですか?怪しい一族にいかにもありそうな」
「あるけどお金にはならない。アヴィスと接触するアイテムや本ならあるけど、さすがに外に出すわけにいかない。下手にいじると世界が滅びる」

 思った以上に八方塞がりだった。他に方法がないか考えていると、

「リーオさまー!」

どんがらがっしゃーん!と木製ドアにあるまじき音を立てて、ロッティが現れる。ショートパンツ姿でなければ色々丸見えな見事なキックの構えの横でダグが困ったように何かの紙を持っていた。

「シャルロット、お金ないから破壊工作は勘弁して欲しいんだけど」
「あとで直します!そんなことよりクリスマスです!お金の問題は解決しました!」
「近所の……森で大きな熊……倒したら賞金」

ダグが持っている紙はその賞金の張り紙らしい。たしかに「前代未聞の巨大グマ出現! 近所の街に移動するときに怖いので倒した人に賞金たくさん!」と書いており、下になかなかの金額が記載されている。これだけの金があればクリスマスパーティどころか彼らに新しい服と靴を支給できる上に本棚に絵本が置ける。リーオもお湯でなくお茶が飲めるだろう。

「大丈夫なの? できれば人間の領域ではチェインは使って欲しくないんだけど」
「問題ありません!百年前には森で鹿肉を採ったり狼を退治してましたから!チェインはなしで!」
「ロッティ……狩りの名手。俺は皮をはぐの得意……」

チェインのリオンを使うのは遠慮して欲しい、というと恨まれるかと思いきや剛毅な返答。チェインは人間の領域では使わないで欲しい、というのは「いやーチェインはチェインにしか使えないから、それ以外は我々ただの不老の人間っすよー」という口上で軍事利用されかねない事態を避けてのこと。
だから己の肉体を持って出来るなら構わないのだが、ロッティのうら若く美しい女性の肉体が書類の記述の通りなら三メートルで大型馬車を薙ぎ倒す凶悪なクマを倒せるのだろうか。

「……経験があるならいいよ、分かった。ただシャルロットの命が最優先だから、本気で危なかったらリオンを呼んで逃げること。いい?」
「大丈夫ですよ!でもいざって時はリオンを呼びます」
「俺も、ついてく……大丈夫、です」

ダグと私の狩猟は世界一ー!と廊下から走り去っていく。嵐のよう、リーオから見ればバレバレだったが、オズワルドはあんなパワフルな女性の好意に本気で気がつかなったんだろうか?と益体もない妄想。

「良かったですね、このクマなら良い毛皮と肉が取れそうです」
「捌けるの!? まあ、これで解決ならそれでいいけど」

 と、まだ項垂れているリーオに怒りを買う覚悟でミセスは進言してみた。

「・・・・・・ナイトレイの財産はないんですか?ほら、義理の息子とはいえ、唯一の生き残りの身内が二人ともいますし」
「もう調べた。ナイトレイに財産と言えるものはない・・・・・・トップがチェインの研究にバカスカ金出して本当は借金だらけだったんだよナイトレイは!貴族って本当に金勘定が分かってないね、なんの為に学校行ってたんだよ!」

 最低限のものを持ち出して、家やら土地やら売って借金を精算すると本当になけなしの財産しか残らなかった。ギルバートとヴィンセントも申し訳なさそうだった。その金を元手にして、わずかな親族の生活とナイトレイ家の墓の維持をしてるので本当に何もない。
 どんどん切迫している新事実にミセス・フィンもいい加減嫌気がさしてくる。

「・・・・・・あなたたちは不死身なら数日くらいは食べなくてもいいのでは?」
「計算したけどダメなんだ、今年は木材が高いし、口の堅い人材確保もお金がかかる。僕ら幹部が二週間水しか飲まなくてもだめなんだ……だからそりゃ、賞金が手に入るならいいけど」

 ただ書類が一年前の日付だからなあ、まだ退治されてなければいいのだけれど。と、

「リーオー!」

 再びどんがらがっしゃーん!とドアが開き、ギルバートが現れた。トレイに手作りクッキーとカップが乗っていたから今回の音は妥当なのかもしれない。クッキーの乗った皿をさっとミセス・フィンが素晴らしい瞬発力でキャッチする。

「ギルバート、クッキーは子供たちにあげてほしいんどけど」
「大丈夫!カネの問題なら解決だ!」

なんとまた金策の話か。ギルバートが懐からチラシを取り出し、ロッティとダグのように胸を張って報告した。

「少し遠い街で料理コンテストがあるんだが、優勝すると大金が貰えるんだ!これならクリスマスパーティが出来る!」

確かに少し遠い街だがクリスマス前に開催予定の旨が記載されている。キャッチコピーはどきっ!イケメンだらけの料理コンテスト!……男性だけが参加対象らしい。

「ギルバートが料理上手なのは知ってるけど、優勝なんてできるの?」
「為せば成るさ!ご近所コンテストなら優勝したことがある!だからパーティを諦めないでくれ、不安がっているあの子達には今楽しい思い出が必要なんだ!」

ギルバートの金色の目はきらきらと使命感と情熱で輝いていた。その輝きはリーオの胸に突き刺さった。たかがパーティと思っていた、だから身の安全や日々の食事に比べるべくもなく中止にした。来年ならできるから、安全に暮らしておくれ、と。

そうかもしれない。けれどリーオ自身そうだったろうか? お腹がすいていいから母に笑って欲しくなかったか? 将来の役に立つかわからない馬鹿な話をエリオットとしたことは、罰として宿題を山のようにもらっても幸せではなかったか? そんな思い出は時に食事や屋根より自分を温めてくれたんじゃなかったか?

 待っていろと走り去るギルバートの後ろ姿にリーオはがたんと立ち上がった。

「このチラシ、王都から元宮廷料理人を呼ぶとか書いてますが、ギルバートさん大丈夫でしょうか? 出来レース感が否めませんしがっかりしないといいんですが、ちょっとリーオ? 何マントを羽織っているんですか?」
「ミセス・フィン、僕は間違ってた。クリスマスはみんなに必要なんだ、だから僕は街へ行かなきゃ。大丈夫、即日対応って看板に書いてあったから!」
「金貸しに走るんじゃありません!この子は昔から変なところで短絡的に!」
「大丈夫、返せる返せる。金利なんて怖くない!」
「やめなさい!、あーもう!ならこっちを使いなさい、私のヘソクリ、いざという時の私の葬式代」
「使えるかあああ!自分を大切にしろ!」
「バスカヴィルの長が街の金貸しに走るよりマシです、リーオは組織のトップの威厳をもっと大切にしなさい! 貰うんじゃなくて借りるならこっちにすると思って」
「マスター? 何してるんですか?」

三度目の来訪者。静かにドアを開けて閉めて、現れたのはヴィンセントだった。老齢に差し掛かった女性と取っ組み合いをしている主人の有様にちょっと引いていたが、ちゃんと礼をして主人に侍る。

「ヴィンセント、今取り込み中なんだ」
「えっと、クリスマスパーティのことなんですか!?」
「ヴィンセントまで!?」
「ヴィンセントさんが!?」

仲良しイベント嫌いに定評のあるヴィンセントはその反応にバツが悪そうに。

「さっきからちびたちがぴーきゃーうるさいんですよ、そのせいでギルが落ち着かないし、別に僕はあんなチビ達どうでもいいんですけど」

懐から財布を取り出す、中からは結構な紙のお金が出てくる。

「こっそりバイトしてたお金がありますので、資金提供に」
「馬鹿!ホストクラブはやめろって言っただろ!」
「ヴィンセントさん、身売りはいけませんよ!」
「なんでギルもマスターも僕にそういうイメージなんですか!? 空いた時間に荷運び手伝ったり店番してただけですよ!」

曰く、ヴィンセントの職務であるアヴィスの核の教育のためとのこと。最近絵本を与えていたら大層気に入った。どうせならと物語や辞典の本を一式揃えるつもりだった。その為の金だが、急ぎではないので使ってもいいとのこと。

 従者の差し出す結構ボロボロな紙幣にリーオの心は揺れた。みんな分かっているのだ。クリスマスパーティはただのパーティではない、新しいバスカヴィルのみんなで思い出を分かち合う場なのだ。ささやかで無駄に思えてもそれはいつか誰かが思い出す、未来を支えていくものだ。

「分かった、有難く受け取る。けど貰うんじゃない、借りるだけだから。あとで経費にしとくから」
「いいえ結構です、交換条件がありますから」

 妙に神妙に従者は主人を見上げた。マスターにしか頼めないんです、と。





結局の所。
ロッティとダグはクマ退治には間に合わなかったが、大量の鹿肉と狼の毛皮を持って帰ってきた。
ギルバートは優勝出来なかったが、参加賞も主婦人気特別賞でたくさんの小麦と砂糖を持って帰ってきた。

そして、今日のクリスマスパーティが元フィアナの家では盛大なクリスマスパーティが開かれた。予定より豪華なパーティ。建物の外の大きな木にはカラフルな飾りで彩られ、ケーキは豪華なもの、鹿肉の料理はギルバートの自信作だ。

バスカヴィルの民という、迫害された記憶の強い子供達はそれに目を輝かせた。寂しそうな子は贈り物のぬいぐるみに抱きつき、無口な子はいつもより言葉が多く、荒んだ目の子はいつもより穏やかだった。

それを見ただけで、苦労したロッティもダグもギルバートも、満足そうだった。ミセス・フィンははしゃぎ過ぎて転んだ子供を助け起こしている。なるほど彼女の仕事は昔と一緒だ。

「良かったです、楽しそうですよ」
「そうだね、ただ僕の力で大丈夫かなー」
「心配せずとも、アンノウンは賢いですから大丈夫ですよ

 絶対の自信を持って断言される。こいつもたいがい親ばか体質なんじゃないかなあとリーオは離れた場所でチェインを使い、アヴィスの力が乱れぬように場をコントロールしていた。今この場ではアヴィスの力の乱れがない。

 そして、子供達の中にいつもは見慣れぬ子供が混じっていた。最初は不思議に思われていたが、いつの間にか一緒にケーキを食べている。金髪にエメラルドグリーンの瞳の子供は人ではない。アンノウン、そう名付けたアヴィスの核が力の一部を使ってこちらにいた。ほんの影だけで長時間は滞在できないが、その時間をリーオが長引かせること、それがヴィンセントの頼みだった。知識や理性は大人だが、情緒は幼い彼を同世代の子供と接しさせてみたい、と。

「でもよかったんですか、お金?」
「いいさ、お金は足りたんだから。面白い本を買ってやれよ」

アヴィスの核とバスカヴィルの民が共に饗宴することもあるのだから、聖夜というものは不思議なものだ。でも今日という日があってよかったとリーオは微笑んだ。
いつか辛い目にあうかもしれないあの子達が思い出すかもしれない、アヴィスの核が深淵の中での寂しさの中で思い出すかもしれない、用意した大人達が悲しい時思い出すかもしれない、今日の時間が楽しかったことを。

「メリークリスマス」

この場にいる人を小さな声で祝福する、そして思う。仕事仲間になったミス・シャロンやレイム、そこに預けられたリリィも、新しい生活を始めたというミス・エイダも、この場にいたら楽しかっただろう。そうはいかないけれど、きっとそうだ。

 そして、死んでしまったエリオット、消滅したオズやアリス、彼らもきっと……。

「……メリークリスマス」

もう一度リーオは言祝ぎの文句をつぶやく。この場にいない人々の分まで、世界を祝福するために。







あとがき

 クリスマスのー日ー。バスカヴィルのその後を妄想しつつ、書いてみました。

 フィアナの家ってバスカヴィルにとって便利じゃね(サブリエのバスカヴィルの門のすぐそば、アヴィスに近い)?再利用したら楽じゃね(新しく施設を建てる必要がない、バスカヴィルの子供たちを預かるには孤児院の肩書きのある施設は便利、幹部のシスターたちスタッフはナイトレイの実験に噛んでるので知識があり再雇用できる)?と思って出来た妄想未来設定。

 ミセス・フィンとリーオは一悶着あったという無駄な設定。

「あんたら絶対子供使った人体実験って知ってたろうがあああ!この外道めええええ!」
「道端で十人中九人死ぬような孤児の中でも訳ありの連中が十人中三人しか死なない実験の引き替えに最低限の衣食住保証されるんだから仕方ねえだろうがああ!世の中を知らん小僧がああ!」
「うっせええええ!だからって許せると思うかあああ!これからは残った子供は安全な施設に移動してもらって将来も考えてやるううう!権力者な特権を行使してやんよ!」
「は、偉くなったものだな小僧!じゃあその顔も見納めだあばよ!」
「待ちやがれ!あんたら暗部を知ってるシスターたちはそのままいったら消されるぞ!この施設を乗っ取った僕らバスカヴィルに雇用され続けるがいい!」
「黙れ小僧!貴様に何がわかる!」
「シスターたちだって行き場もないし野垂れ死ぬ寸前でここで働いてただけのくせにー!その知識バスカヴィルで使わせてもらう!酷使してやるから罪滅ぼししろ!」
「今更同情なんかいらんわ!はなせ、はーなーせー!・・・・・・」


 みたいな経緯でフィアナの家で働いている。
 ミセス・フィンやらナイトレイのチェイン実験の暗部を知ってる、かつ身を寄せる家族がいないシスターたちは今度はバスカヴィルの元で世の中からあぶれて荒んだ感じの子供たちの面倒を見ています。前と変わらんがな。