何時だったか、こんな会話をしたことがあった気がする。
「エリオットはさ、自分の家族が本当に好きなんだね」
「?そりゃ家族だからな、当たり前だろ?」
俺は質問の意図が分からず反射的に返答してから、少し後悔した。
フィアナの家はチェインによって家族を失った子供の養護施設だ。当然、そこ出身のリーオには家族はおろか頼る身寄りすらもういないはずだ。
「君が、家族の誕生日のたびにあれこれ頭を悩ませているのがほほえましいなあって・・・まあ、当たり前なんだろうね」
誕生日をを祝われたことも祝ったこともないのか。表情に出てしまったのか、リーオは困ったように笑いかけてた。
「まあ普通の家ってそういうものかな、僕も母さんが嫌いな訳じゃなかったし」
父親の話はしなかった、それを追求する事はできず想像しかできない。リーオは遠い場所を見るように母親の話を続けた。
「色々あって、好きとか嫌いとか考えたことなかったな。悪いことしてるかな、とは思ってたけど」
「?・・・なんでだ?」
リーオは曖昧に笑うと「まあ貧乏だったからね〜」といつものようにけらけらと笑った。
理由がよくわからないが、リーオが自分を突き放していると感じて否定の言葉を探す。
「貧乏だと、なんでお前が悪いんだよ」
「別に母さんにそう言われてたわけじゃないよ、ただ苦労してる姿を見るとお荷物だなあ悪いなあって子供心に感じてただけ。でも最後まで僕を捨てなかったんだから、母さんは僕の母さんだったんだよ?」
だから心配いらないよ、と笑うとその笑顔が偽りのないものでかえって不安感を感じさせた。
「・・・・・・お前はいなくなりたかったのか?」
「・・・・・・さあね、昔のことだし」
「忘れたよ」と言うリーオが、それを忘れておらず、そしていなくなりたかったのだと伝わった。
「 その瞳に映る世界 B 」
いなくなるなんて、考えてもほしくなった。俺のためでも、お前のためでも。
家の外で最初に出会えた相手がお前だった幸運が俺にとってどれくらい大きいかったのか、お前にも俺自身にも、それが失われる恐怖を感じるまでよく分かっていなかった。
恐怖を知ってしまえば、昨日までには戻れない。喪失の恐怖は、昨日までの幸運があっさり失われることを教えた。
だから俺は来るはずの明日の幸福を確かなものにするために、今日を昨日までと違うものに変えてしまった。
だから、まだ白い両腕は俺の元へ縛り付けられている。
深く眠るリーオの額から外した手にはまだその温もりが残っていた。大分熱は下がった、明日にはほとんど治っているだろう。
よかったと胸を撫で下ろすと、静かに眠る顔とその体の先の拘束された両腕が痛まないようにもう一度手首を確認する。
ふとさっきまで俺自身が泣いていたことを思い出し、もう一度呼べるようになった言葉をもう一度呟いた。
「・・・・・・リーオ」
「・・・・・・何?」
名前を呼べた安堵感も束の間だった。死んだように眠っていると思っていたリーオが自然に言葉を返してきたので慌てて身を離した。前髪に隠されていて、目が開いたことに気付くのが遅れたらしい。
「っ・・・起きてたのか?」
「さっきからおぼろげにだけどね・・・・・・まだ僕を離してないんだ、エリオット?」
リーオの両腕はさっきと変わらない、いくつか解けない結び方をしたリボンタイをつないで右と左の手首はベッドの柱に片方ずつしっかりと結びつけてある。所詮はただの布なのでリーオの片手がもう一方に届いたり、噛み切られると意味がないのでその余裕がないように結んでいるので、当然リーオはほとんど身動きができない。
さっきは少しでも楽なように縛りなおしたが、さっきの話を聞くと余裕を持たせる縛りなおすことができなった。拘束を確認するようにリーオが腕を動かすと余裕を持たせていないタイは緊張したように動きを制した・・・俺の感情と連動しているようだとぎりぎりと腕を引くほどタイは手首に食い込んだ。
動こうと逃げようともがく腕を、傷をつけないように抑え込むと自然とさっきのことが思い出されて、なるべく感情を排して口を開いた。
「動かないでくれ、怪我をするだろ」
「・・・・・・着替えさせたんだ?その時は解いていたんでしょ?」
確かに着替えさせるときにはさすがに縛ったままでは袖を腕を通せないので、眠っていることを何度も確認した後に拘束を解いて袖を通した。手早く終わらせるために焦らないようにしたつもりだが結局かなりの時間を要して上着を着替えさせることになった。
「ああ、着替えさせた。少しは楽になったか?」
「楽じゃないよ、なにこれ・・・・・・さっきより動けないし」
「動くな、頼むから。怪我をしたらどうするんだ」
「やめ、抑え込まないでよっ・・・エリオット!」
長い前髪から覗いた瞳には虚勢の中にも確かに怯えが混じっていて、確かに動けないようでほっとした。その表情が気に食わなかったのか、さらにリーオは暴れようとして馬乗りになって腕を押さえつける羽目になった。
「なんで、そんな顔するの?・・・さっきのこと?」
「・・・・・・お前が逃げるからだ、抵抗しないでくれ。酷いことはしたくない」
「さっきのことが腹が立ったなら、解いてから殴ればいいよ!それなら抵抗しない!」
「腹が立ったんじゃない、逃げられないようにしたかっただけだ」
もどかしそうに首を振って、リーオは酸欠のように口を開いたり閉じたりした。その姿がかわいくて唇を無意識に近づけて、慌てて離れた。それも気に入らないのかリーオは余計に眼を鋭くして見上げてきた。
「だいたい・・・さっきから、なにそれ。まさか誠意のつもり?さっきもあんな、あんな風に」
「・・・誠意じゃない、リーオが傷つくと俺がいやなだけだ。さっきのは・・・お前が逃げないで側にいてくれればそれで満足なだけだ、他意はない」
「・・・・・・嘘だ、今キスしようとしたくせに。もしエリオットがしたければ好きにすればいいよ、解いてくれれば・・・いや、もう解かなくても、さっきみたいなのはいやだ」
「・・・・・・」
「いやだよ、エリオット」
断るべきなのはわかっていた。だが片手だけだとリーオの唇に触れると頬を撫でて唇を寄せてしまった。
「・・・・・・ん・・・・・・」
漏れた吐息が近い、甘くてくらくらした。背中に手を回して抱きしめると心臓が早い・・・・・・頭の上でリーオが腕をまた動かそうとしていることに気がついて触れたままそれを抑えつけた。
いやだ、と漏れる声も解放させてやれず俺はリーオを貪った。押さえつけた手首が何かを掴もうともがいていたが、俺はその何かを掴ませないために押さえつけた。
指先だけだと思っていたのに、かなり長い間触れていたらしい。離れると体温が熱く、息が上がっていた。
「もう、やめるんだ・・・?」
「悪い、苦しかったか?やっぱり何もしない方がいいな」
「・・・・・・縛られてる自体で苦しい、に決まってるじゃない」
「そうだな・・・どこか痛くないか?」
「エリオット矛盾してるよ、苦しめてるのに・・・傷つけたくないなんて」
離れて布団をかけ直す。リーオは何か言いかけたが黙る。しばらく沈黙だけが部屋に降りた。
「・・・・・・そういうのも、ありかなと思ったよ。お見合いのこと」
沈黙を破ったのはリーオだった。さっきから被せた布団の上から胸に置いている手が強張る。
「まあ、すぐに・・・無理だと思ったけど。資産家の家と結婚とかしたらただの孤児の僕は即座に態度から何から指示される立場になるし、そしたら髪を切ることにまで発展しそうだから」
怒った?と見上げてくる黒い瞳は澄んでいた。日が落ちてろうそくの明かりが揺れている瞳には俺が映っているのがはっきり見えたのに、もっと遠いところを見ている気がする。
「僕はどうしても、前髪は切れない。だから、すぐに断ったよ。もう一度手紙が来るのは計算外だったから、どうしようかなと思ってたけど、まあお互いただの打算以上の関係もないし何かのカードになるかと思って継続しようかとは思ってたよ・・・・・・君が理由じゃなくて、腹が立つ?・・・・・・すぐに断らなくて、いやな気持になった?」
「・・・・・・なんでだ」
その瞳が映る世界を知りたくなくて、長い前髪の上から手を置いた。遠い場所なんか見るなら、俺の手でふさがれていればいい。手のひらの向こうでリーオは困ったように笑った気配がした。
「さっき言ったじゃない、君が好きだからって。それがお見合いの話を考えた理由」
「・・・・・・わけわからねえよ」
俺が好きだという口で、離れていこうとする。リーオがわからない、でも予感はしていた。リーオが俺から離れていこうとしているのではないか。それが予感から確証に変わる瞬間が怖かった。
でも確かめたかった・・・・・・結局離れないよう逃げないよう、縛りつけて聞くことしかできなかった。リーオの意志がどうであれ俺から離れないように。
「僕はエリオットが好きだよ、多分一生。エリオットが僕から離れても、もっと違う人を好きになっても。
でもできればずっとそばにいたい・・・だから僕は君の従者でいるのが一番いいんだろうな、とは思ってる。過去形じゃない、今も」
「俺は・・・形を真剣に考えないわけじゃないが、お前は友人で従者で、恋人だと思ってる。ずっと。全部お前に向ける好意だ、どれかに絞らないといけないのか・・・お前はどれか一つに決めないといやなのか?」
「いやとかじゃなくてさ。今も友人で従者ってことで君の家と揉めてるしね・・・ねえエリオット、もし、もし本当に君が僕と一生ずっと恋愛関係だったらどうするの?家の存続は?君だって誰かと結婚しないといけないんでしょう、大事な君の家族と誇りのために」
「・・・・・・将来俺がお前の関係が、俺にとって邪魔になるっていうのか?」
リーオの答えは予想した答えの一つだった。三か月前成人してから成人したてとはいえ、結構な数の縁談の手紙が来るようになった。リーオがそれを見ていなかったわけではない。
幸いナイトレイに並ぶ家柄や条件の人間はそこまで多くないから、今は数はそんなにないがこれから増えることはあっても減ることはないだろう。義理の兄2人はその気は全くない、ナイトレイにのこる直系の男子は俺が最後だ。
「まあそんな遠くない将来にね。もちろん君が僕との関係を終わりにして、友人で従者に戻るっていうならすぐそうするつもりだけど・・・でも従者でい続けるためにも、僕に何か力のあるものが関係が少しでもあった方がいいかなっては思った」
リーオは淡々と俺との未来を語った。そこに俺への執着を、恋情を見いだせないわけではない。でも、俺とこのままでいられないということを確信した未来を予想していた。
(・・・俺の予想通りに。嫌な予感ばっかり当たるな・・・)
「だから、順当に行くと君が僕と別れて、君が結婚して、僕がその後に従者でい続ける為には・・・君が勿論僕をそう望んでいてくれることが前提だけど・・・少しでも有利な条件を残していたかったんだ。それが、もう正直に言うね、あの手紙の女の子に友達でいいなら文通してもいいよって返事を書こうと思った理由」
「リーオ、俺は」
「エリオット、君はどうしたいの?君は僕と違う。僕は君がいればそれでいいと思ってるけど君は違う。
君は家族が大切だし、家に誇りも持ってる。君に大切に思われていないなんて思っているわけじゃない。でも、君の世界には他に大切なものがたくさんある」
前髪から覗く瞳は世界を映していた、俺と俺を取り巻く世界を。その瞳に映る世界は、閉じ込めて縛り付けても俺だけを映してはいない・・・当たり前だった、大事に思われても世界で二人だけではないのだから。
しかし、俺はその当たり前に気がつくの遅すぎて彼だけしか見えておらず、その時にはリーオは俺の周囲の世界を見ていただけだ。
「それを邪魔するなんて僕は死んでも嫌だ、君が僕のことで君が大事にしてきたものと葛藤するなら僕はそうじゃない存在にできるだけなりたい。
だから大した影響はなくても君の従者の僕が資産家のお嬢さんと友達だよっていうのも悪くないかとは思った…髪を切らなくていいならその人と結婚してもいいかとおも……」
その言葉は予想しなかったわけではないが、それでも本人の口から聞くと堪えないわけではなかった。唇から零れ落ちる言葉を塞いだ手のひらの向こうでリーオが沈黙した気配がして、ようやく手を離す。リーオはそれ以上何も言わず、静かに俺を見返した。
リーオが言っていることは、妥当と言えば妥当だろう。俺やリーオの立場を考えれば、リーオの考えは家族の考えに近いし、俺もそれは理解している。身分も違うし、同性だ。リーオの独特な性質も加えて、リーオの判断はある一点を無視すれば一般的な感覚からは妥当だった。
それに今が幸せなほど壊れるのが怖い。未来にその喪失を回避したいと思うのは俺も同じだ。だからこんな風に昨日まで自分たちの関係を壊してしまう。失わないために壊すなんて、どこかの悲劇の引用みたいだ。自分がそんなことをするなんてその話を読んだ頃には想像すらしていなかった。
ただしリーオのやり方は俺とは真逆で今より距離をとることで離れまいとしていた……それは嬉しくあり、もどかしくもあった。勝手に…自分で全部を決めてしまうなんて。
それに……こいつは肝心な所で俺を誤解してる。多分リーオ自身のことも。
「……俺はお前を好きなのに、お前と別れなきゃいけないのか?お前から嫌われているわけもないのに?」
「僕が、君を?……悪い冗談だ。好きだよ、ずっと。一番は無理でもずっと側にいられれば、なんでもするよ」
当然のように言う声の柔らかさにほっとした。
まどろむような笑みをいとおしく思い…だから、俺は安心してリーオの身体を縛られている片腕を掴むと強くベッドに沈めた。心臓の位置にもう片手を置くとベッドに深く沈める。
動揺したリーオは目を見開いて俺を見返した。漆黒の瞳に映る世界は今は俺のものだ……これから先も他の誰にもやる気はない。
「痛っ!……エリオット、なんで……!?」
「さっきから勝手なことばっかり言いいやがって……お前は俺の気持ちを考えたことがあるのか」
「君に嫌われてるなんて、思っていない!大事に思われてないなんて自惚れるつもりはないよ!エリオットが僕を好きでいてくれるから、それで側にいられるんだから……だから僕は」
「わかってない、さっき言っただろ!お前は俺が……いやじゃないって!ずっと好きでいてくれるって!俺だってお前がいい、リーオでないとイヤだ!」
「君と離れるのは絶対イヤだ!だったらこのままじゃない方がいいんだよ!」
泣くような声だった。触れている手のひらから伝わる心音が早くなる。それを握り潰すように手を押し当てると身をひねって逃げようとしたが、逃がさなかった。
「俺はおまえが好きだ、お前も同じ気持ちならなんで他のやつと交際したり結婚しないといけないんだよ!」
「今は良くても好きでも、いつか邪魔になるかもしれない!その時に揉めたり後悔したり、エリオットと本当に離れるかもしれないのは、絶対いやなんだ!だってエリオットは家族が大事なんだから!」
「だから、お前は保証に逃げ道を作るのか。そして俺にいつかお前が好きなのにいつか別れて別の誰かと好き合えってその口で言うのか!」
「君だって、いつか後悔する。気持ちだって変わるときが来るよ!なくてもタイムリミットがあるんだよ?お荷物にはなりたくない!」
「それで……俺が幸せだと思うのか?お前から離されて、離れさせられて、リーオが好きなのに他の誰かを好きだと言わないといけないのがか?」
「……側にいるよ、僕はずっと。だからエリオットは……」
お前が側にいて、想っていてくれているのに?……現実感のない話だった。
「そんなことできるか!お前とできないなら一生俺は誰とも結婚しない、無理だ。俺にそんな器用な真似はできない。
リーオ、お前は勘違いしている。お前は俺がお前が好きなまま誰かと結婚して、まともにその家族を愛せると思うのか?憎むとは思わないのか?」
「……っ!じゃあ、どうするのさ!?まさか駆け落ちでもするつもり!?絶対いやだ!そんな家族を悲しませることをしたらエリオットは後悔する!いつか僕を憎む!」
「勝手に決めるな!さっきから俺がお前から気持ちが離れるのを前提で話しているが、そんな日は来ない!それを前提で考えれば……そうだな、駆け落ちでもするかもしれない」
「だめだ!エリオットは僕以外に大事なものがたくさんある!だったらやっぱり後悔するんだよ!」
「俺は家も、家族も大事だ。だから、このまま結婚なんてしないでお前とは従者で親友で……隠れた恋人同士のままでいるつもりだった。それが勝手なのは謝る。
……考えなかった訳じゃない、いつかそれで家族とぶつかることも十分ある。でも、ただそれでも、俺はお前が好きだ。それが俺だ、押さえつけたら歪む。そうしたら俺は家族を憎むかもしれない」
「……エリオット」
「だからお前が俺から離れるなら、せめて俺を憎んでからにしてくれ……それならこのままここに閉じ込められるから」
早い心音を片手でつかみながら、体重をかけすぎないよう馬乗りになると硬直した頬に触れた。漆黒の瞳が俺を間近に映す、その瞳に映る世界は俺だけを見ていた。
「リーオ、選べ。ここにいてずっと縛られたまま俺の側にいるか、縛られないでずっと俺の側にいるか」
「……何言って……?」
「ずっとこうして縛りつけることは難しいかもしれないが…難しいだけでできないわけじゃない」
「それが君の望みなの…?冗談じゃない、いやだ!」
「嫌だろうな、俺も…あんまりやりたくない」
「……君は馬鹿だ、ただの気の迷いだよ…急に僕があんなことしたから、妬いて少し気が立ってるんだよ」
「俺はお前を手放す気はない、お前が嫌でもなんでも……だからこんなことをしたんだ」
絶句するリーオの目元にキスをした、この瞳に映る世界をひとりじめはできなくても触れるのは俺だけでいい。その為に払う代償はきっと重い。
でもこの感情は無視するには俺の心に大きく根を既に張りすぎていた。無理に引き抜けば俺が壊れてしまうくらいには。
「俺は自分の家も家族も好きだ…お前の言うとおり、世界に二人きりじゃない」
「だったら」
「…でも、最後は、最後にはナイトレイよりお前を取るから、これから先にお前と一緒にいることを否定しないでくれ」
だから、こんな風に閉じ込めるよりも……本当は昨日に戻りたいと小さく囁くと、リーオは長く沈黙して口を開く。
「エリオットは馬鹿だ」
言って顔を俺から背けた。そうすると不意にさっきリンゴを向くときにつけた包帯をリーオが見た。見開かれていた瞳が泣きそうに潤み、涙が溢れる。慌てて拭うと、それも振り払われた。
「これ、まだ治ってないの?…もういいから早く治してよ」
「だいたい治ってる、包帯だけ巻いているだけだ…それより」
「そんなことじゃないよ、さっきから馬鹿なことばっかりして……馬鹿だよ」
「リーオ」
「だから……君が嫌だって言うまで、君に付き合うから離して」
「このままじゃ君に触れないから」と泣くとリーオは頷いた。
つづく
あとがき
・エリオット君は純情こじらせて病みました(どやあ)
・エリオットが手を出さないのは傷つけないためというよりは、手を出してる隙に逃げられたら怖いからだったり・・・(うわあ)
・リーオは打算関係なら結婚できますが、本気になられたら即逃げます。いつか刺されます。
・リーオが一見常識的なように見えますが、世間の常識を盾にとって自分の目的を最優先してるだけだったり…
次で最後のエピローグ