こんなつもりじゃなかったんだけどな







「ある公爵家の末っ子とある変わり者の少年の惚気な日々」







「・・・・・・?どうかしたのか、リーオ」

「いや、どうしてかなあと思ってたんだ」

「?・・・・・・何を?」

「うーん、どうして僕はエリオットのベッドで手を握り合ってるんだろうってこと、かな?」

「そりゃ、おまえが自分のベッドの本をかたずけないからだろ」

「えー、今のつっこみどころはそこじゃないんだけどなあ。
エリオットにとっては隣に座っていた僕の手をさり気なーく握ったことは何の問題もないんだ?」

「・・・?・・・!
こ、こここ、これはだな!リーオがベッドをかたずけないから、座る場所もなくて、お前が俺の隣に座るからだな・・・!だ、だからだな!」

「あー、そういう意味じゃなくて、ていうかそんな説明しなくていいじゃん。僕たちつきあってるんだし」

「それは、そうだけどな!・・・いや、だから・・・い、いいだろ別に」

「・・・・・・」

「なんだよ、言いたいことがあるなら言えよ」

「え、じゃあエリオットのむっつり」

「・・・お前なあ!なんだよ、さっきから!言いたいことがあるならさっさと言えよ!」

「僕だってそうだったんだけどな」

「?なんだそれ」

「いや、エロい奥さんがほしかったのになあって」

「はあ?」

「たとえ僕の欲情する対象が同性でもエリオットだけはないと思ってたのに」

「喧嘩売ってるのか、お前・・・なんだそれ、性別とか、身分とか、俺がいやだとか・・・後悔してるのか?」

「してないから、困ってるんだよねー・・・後悔してればよかった」

「・・・・・・リーオ?」

「なんで後悔してないんだろう、いやそれならそもそも始めなければ良かったんだけど、いやせめて後悔くらい」

「リーオ!」

「後悔できたら今ならまだ間に・・・っく・・・な、なにするんだよっ!」

「・・・っ〜!お前、肘で殴ることだろ!?」

「いきなり、キスなんてしてくるエリオットが悪い。つきあってるからって了解とらないでいいとか思わないでね」

「思ってない!お前も問答無用でぶん殴っていいとか思うなよ!」

「先にやってきたのはそっちでしょ、しかもなぜかほっぺだし」

「それは俺たちの付き合ってる日数を考えるとそもそもキスは早すぎるから・・・じゃなくて!そもそも後先の問題じゃなくて・・・あー!違う!話そらすな、リーオ!言いたいことがあるなら言え!」

「別に言いたいことなんてないよ、もういい加減手放してよ!」

「お前が言うまで放さない・・・言えよ」

「・・・・・・」

「リーオ」

「・・・・・・やだ」

「・・・・・・お・ま・え・な・あ!」

「やだ、エリオットには言わない」

「なんでだ」

「エリオットにはわからなくていいよ」

「よくねえよ・・・ん」

「・・・・・・キスでも早いんじゃなかったの?」

「抱きしめるのはまた違うだろ・・・お前冷たいな。ちゃんと暖をとってるのか?」

「エリオットはあったかいね・・・血気盛んだからかな・・・よっと」

「・・・お、お前な・・・」

「なに?抱きつき返しちゃいけなかった?」

「・・・別にいい」

「ふふ・・・あったかーい、このまま寝ようかな」
 
「ちゃんと自分のベッドをかたずけてからにしろよ」

「え〜、なにそれ色気ない」

「それは関係ないだろ、ほらグダグダ考えてないで言ってみろ」

「・・・従者が良かったのに、何でこうなった、かな。正直あんまり深く考えてたわけじゃないけど。もやもやした程度」

「・・・やっぱ、後悔してんじゃ、ねーか」

「そんな苦しそうな顔しないでよ・・・後悔はしてないよ、だから困ってるんだし」

「・・・・・・従者が良かったってどういう意味だよ。今だってリーオは俺の従者だろ」

「兼恋人のね、それがあんまり予定外でさ。エリオットの従者になったのも想定外だったのに」

「・・・・・・」

「僕はさ、人に仕えるなんて向いてないと思ってたし今でもそうだけど・・・エリオットとの関係が主人と従者っていうのは結構気に入ってたんだよ」

「お前がか?自分で選んでて言うのもなんだが、お前くらい従者らしくない従者も珍しいと思うぞ」

「そりゃ主人がエリオットだからね、普通クビ以前に僕を従者にしようとか思わないでしょ。エリオットくらい主人らしくない主人も珍しいと思うよ」

「・・・・・・忠実なだけが従者じゃなければ、それにあれこれ言うだけが主人じゃないだろ」

「そうだね、君が僕にそういうの求めていないのは分かってるよ。だから、いけなかったのかな、主従の垣根をあっさり越えて、距離は近いけど別れたらそれきりの恋愛に発展しちゃうなんてさ。君に嫌われても側にいられるかもしれない従者が一番安心だったのに」

「・・・・・・」

「いたいよ、エリオット。いき、苦しい・・・」

「・・・・・・俺だって」

「エリオット?」

「俺だって、怖い」

「・・・・・・」

「怖かったが、でもこのまま黙ってるとその方がいつかダメになるような気がした」

「・・・・・・僕と逆だね」

「俺はお前が従者でもあんまり安心じゃないしな、お前は前触れもなく「じゃあね」って辞めそうだ」

「そんなことないよ、エリオットが望まない限り」

「お前は俺が望んでない時でも、勝手にぐるぐる考えて勝手に決めて・・・どこかに行きそうだ」

「・・・・・・僕がいることがエリオットにとってマイナスになると思ったら、僕は」

「だからな!俺は・・・お前がいないと俺は俺じゃなくなりそうで、お前にも俺がいないとそうなって欲しいと思ったんだよ」

「それが、僕たちが恋愛をする理由?」

「恋愛に理由なんていらないと思うが・・・まあ、俺たちの場合はな。強いて言えばだが」

「・・・・・・」

「なんだよ」

「・・・・・・いや、エリオットの割にいろいろ考えてるんだあって」

「お前な・・・!」

「ごめんごめん、からかったわけじゃなくて・・・・・・エリオットなりに悩んでくれてうれしかったんだよ」

「・・・・・・そりゃ、悩むさ」

「僕だってね・・・まあでも」

「?」

「そう思えることが幸せなのかな」

「多分な・・・」








終わりか続く





どう考えてもいちゃついてます、本当にありがとうござ(ry

2012/1/6