ハッピーポイズンウェディング













その@〜三日前・花婿とその部下と恋敵〜















「グウェンダル閣下、こちらが資料です。そしてこちらがこの前の件の報告書をまとめたものです」



「ああ、ありがとう。いつもすまないな、アンブリン」



「いえ、仕事ですから。
それにわたしとしても仕事が忙しいほど仕事熱心な上司を持ったことは嬉しいことですよ・・・・・・ところで」



「?・・・・・・なんだ?」



「閣下、この度はご結婚おめでとうございます」



「ああ・・・・・・」



「・・・・・・・・・・・・」



「・・・・・・・・・・・・・・ど、どうした?」



「閣下もついにご結婚なさるのですね・・・・・・アニシナさまと」



「う・・・・・・」



「閣下は仕事熱心な方ですが熱心すぎて一生ご結婚なさらないのかと、わたし影ながら心配していたのです」



「そ、そうだったのか?」



「ええ、わたしも一応夫のいる身ですから。いくら、愚にも付かないことばかりする夫でもやはり一生を添い遂げるものがいるというのはよいことですよ。
城に仕事を始めた頃からも閣下をご尊敬してはいましたが、同時に閣下のように真面目でお忙しい方はなかなかお相手がいても結婚まで進展することは難しいかと・・・・・・」



「そうか・・・・・・待て、今なんといった?」



「?閣下のように真面目な方は・・・・・・」



「いや、そこじゃない。今言った「お相手」とは誰のことだ?」



「もちろんアニシナさまですよ」



「何!?お前とのつきあいも長いがそんな昔から私の結婚相手がアニシナだと!?」



「だって、他にはいないではありませんか」



「な・・・・・・っ!?」



「そうでしょう、閣下は他に個人的に親しくしている女性はいらっしゃらないではないですか?」



「確かにあまり他に女性の知り合いはいないが・・・・・・」



!!ああ、そうですね。男性なら」



「いや、それは違う、違うぞ!アンブリン!」



「でも、男性もあまりお知り合いがいらっしゃりませんね・・・・・・閣下、ご結婚なさるとはいえもう少し友人がいた方よろしいのでは?」



「う。いや、それは・・・・・・そうではなくて!何故私の相手はそんなに昔からアニシナだと思ったのだ!?」



「閣下は以前アニシナさまの結婚話が立ち上がったときわたしの目の前で「ロメロとアルジェントの毒」を飲んだじゃありませんか。あれはアニシナさまをフォンロシュフォール卿にアニシナさま渡すまいとしたからではないのですか?」



「いや、それは違うぞ!!というかあの時あの場ではお前はいたのだろう!?そんな話を私はしていないぞ!?あの時私は毒に犯されて生き地獄を・・・・・・」



「そうでしたか?・・・・・・まあ、わたしもあのときは夫を問い詰めるのに忙しくてあまり話が聞こえていなくて」



「そうだ、あのとき私はだな・・・・・・いや、やはりいい。思い出したくもない」



「なんにせよ閣下の結婚の相手がアニシナさまというのには安心いたしました。アニシナさまなら閣下にはぴったりだと思っていましたから」



「そ、そうなのか?」



「ええ、お二人とも眞魔国の為に心身を捧げていらっしゃいますし、不眠不休で仕事に熱中されますし」



「・・・・・・まあ、そうだな」



「閣下もいつもは取り乱されることなど滅多にないのにアニシナさまがいらっしゃるだけで机をひっくり返してお倒れになって仕事がお手に付かなくなる ようでしたし、アニシナさまもよくヴォルテール城に閣下にお会いにいらしていましたし。私とても仲がおよろしいように思っていたのですが」



「いや、それはちょっと違うのだが・・・・・・」



「閣下ったらアニシナさまのお名前が聞こえるだけでそそくさと部屋を出て行ってアニシナさまにお会いにいっていましたし」



「それは逃げようとしたら捕まっていただけなのだが・・・・・・」



「・・・・・・閣下」



「な、なんだ。神妙な顔をして」



「もしかして、まりっじぶるーというものですか?」



「(なんでそんな言葉を知って居るんだ・・・)何故そんなことを?」



「いや、さっきから結婚に乗り気ではなさそうでしたので、もしかしてと思って」



「別にそういうわけではない・・・・・・そんな中途半端な気持ちではアニシナと結婚など出来はしないだろう」



「・・・・・・閣下(ほろり)」



「ど、どうしたハンカチなど取り出して目元に当てたりして」



「閣下がこんなにアニシナさまのことを思っているなんて・・・・・・私、オクテで無愛想でへたれな息子が立派に巣立っていく気分です



「いや、というかそんなことをしたら殺されるというか・・・・・・いやちょっと待て、お前は私をそんな風に考えていたのか!?」



「閣下がお幸せそうで本当に私嬉しいですよ・・・・・・ほら、閣下の結婚報道がこんなにあらゆる報道記事にのっていますよ。これにもそれにも」



「ああ、これか。(誤魔化したな・・・・・)
どうせ「赤い悪魔年貢の納め時」「夫に待ち受ける悪夢の日々」とか「男の人権を無視している」とかのっているんだろう。前にアニシナに結婚話が立ち上がったときもそんな記事が沢山・・・・・・」



「まさか。そんな記事は1つもありませんよ。
「アニシナさま、ついにゴールイン!」「フォンヴォルテール卿を待つ幸せな日々」とか「アニシナちゃんと結婚できるなんて男冥利に尽きる」というような祝福の言葉しかのっていないですよ」



「な、何ぃぃぃぃっ!!?」



「他にも色々ありますよ。
「フォンヴォルテール卿は以前からアニシナさまと懇意でその発展的事業に喜んで身を捧げていた」「アニシナさまもそんなグウェンダルさまを歓迎していた」とか「眞魔国に心身を捧げているグウェンダルさまにとってはアニシナさまの発展的事業に協力するほどの喜びはないと日頃から公言していた」というような記事が山ほど」あります」



ど、どうして、そんな・・・・・・。私はそんなことを公言した覚えはない!その記事はデマカセ・・・・・・!」



「(ばーん!←扉が開いた)ちゃっらーん!!グウェンダル閣下〜グリ江ただいま帰りましたよ〜ん!
今回も任務完了完璧で閣下に喜ぶお顔が浮かぶようで、その喜びを出来ればこの絹のレースの請求書を黙って受け取ることで表して欲しいんですけど・・・・・・おや、何かもめてますか?閣下、そんなにシンニチを握りしめてにらんだりして」



「あら、グリエ。今、閣下は今回の結婚報道にコメントした覚えがないと仰っているのですが」



「どれどれ・・・・・・や〜だ、閣下ったら、公言していなくとも閣下のいつもの行動からすればこんなコメント、事実と同じですよ」



「そんなわけがあるか!これでは私がアニシナのもにたあになることを喜んでいたようではないか!!」



「閣下ったら・・・・・・いつもそんなこと言ってるくせにアニシナちゃんのもにたあを俺に譲っていくたことなんてないくせに



「・・・・・・!!ま、まさかこの結婚報道の情報を渡したのはお前か!!?」



「え〜何いってんですか。これは俺の聞いた話によると「善良で真面目な酒場の店員」からの情報らしいですよ」



「明らかにお前だろうが!何が善良で真面目だ!!」



「も〜う閣下ったら、アニシナちゃんと結婚する喜びで疑い深くなちゃってるんじゃないですか?(つん)」



「ええい、つつくな・・・・・・!!もういい、アンブリンその報道記事を渡せ。その情報は全てデマカセだ。その記事を出した出版社にはこの報道記事をすぐに撤回するように勧告を・・・・・・って何故記事を私の手の届かないところに置く!?」



「・・・・・・閣下、そんな結婚前から妻へ愛情を見せることに照れてはいけませんよ」



「ア、アンブリン!?・・・・・・ええい、グリエ、放せ、私に何か恨みでもあるのか!!?」



「もう、閣下ったら〜アニシナちゃんと結婚できるなんて男冥利に尽きる話をそんなに嫌がるなんて・・・・・・もにたあにもなれなかった俺への当てつけですか?(絶対零度の声)」



「う・・・・・・(恐怖)。いや、そういう問題ではなくてな!私はアニシナのもにたあに喜んでなったことなど・・・・・・ってこら!なんだそのメモは!!?」



「え、いや。閣下がアニシナちゃんと結婚できていかに喜んでいたかという情報を・・・・・・」



「やっぱりお前じゃないかーーーーーーーー!!待て、鳩を飛ばそうとするな鳩を!!アンブリンお前も報道記事を持っていこうとするな!!」






















続く


















グウェアニ結婚話。


アンブリンの発言は微妙に腹黒さを感じていただけるといいかと・・・(笑)。


こんな感じで続きます。