ハッピーポイズンウェディング
そのA〜二日前・弟と弟と兄〜
「ついにあと二日になってしまった・・・・・・」
「ヴォルフラム、どうしたんだ?そんな悲愴な顔して」
「ああ、コンラート。ついにもうあと二日で・・・・・・」
「ああ、明後日はついにグウェンとアニシナの結婚式だな」
「そうだ、ついに兄上がアニシナと結婚してしまう!!この非常事態にお前は何をのんきにしているんだ!!?」
「何って、母上に頼まれてアニシナの結婚衣装を運んでるんだけど。20着ほど」
「なんだってーーー!?」
「うん、俺も思うよ。20着は多いって。でもこれはごく一部でまだまだ・・・・・・」
「そういう問題じゃない、何を大人しく結婚式の手伝いなどしているんだ!!このまま兄上とアニシナを結婚させる気か、お前はアニシナを「姉上」と呼びたいのか!?」
「「姉上」・・・・・・それはちょっと。今までずっとアニシナとかフォンカーベルニコフ卿とかしか呼んでいなかったのになにかヘンな感じだな。
・・・・・・ところでヴォルフラムはアニシナとグウェンの結婚に反対なのか?」
「あ、当たり前だ!」
「なんで今更。もう式は明後日だっていうのに?今からだとしたら遅すぎるぞ」
「う・・・・・・」
「もう式の準備は着々と進められているし、十貴族や各国の知人達にも招待状は出してるし。
反対するならもっと早いほうがよかったんじゃないか?半年前からこの結婚の日取りはいたっていうのに」
「うう・・・・・・」
「母上がここ一ヶ月すっかり乗り気で式の計画を立てているからグウェンや、いくらアニシナでも今から「やーめた」とは言えないだろうし、もう手遅れだろうな」
「ううう〜〜〜〜・・・・・・」
「もっとも、お前の不安が「尊敬するグウェンダル兄上がアニシナに取られる」という現実が間近に迫って慌てていることが原因だったら問題ないな。俺といっしょに嘆けばいいから。ああ、よければ慰めようか?」
「なっ・・・・・・!べ、別に兄上はアニシナと結婚してもぼくの兄上なことには変わりはないし、と、取られるだなんて思っているわけでは・・・・・・って、何をしている!!?触るな!!」
「何って動揺しているヴォルフを慰めようと頭を撫でてているんだけど。よしよし、覚悟していたんだけどいざというときにはパニックになちゃったんだな」
「ええい、触るな!!」
「とっても微笑ましいけれど、少し不安だな・・・・・・おにーちゃんが結婚する度にこんなに不安がってちゃ俺が結婚するときにはどうするつもりだ?」
「ふざけるな!ぼくはお前より結婚は先だし、お前のことなんかには興味はない!お前が何時どこで誰と結婚しようとその後どこへ行こうと、ぼくの知ったことか!!」
「え、そうなの?」
「何を意外そうにしているんだ、ぼくがお前が結婚しようがそうしようが関係ない!・・・・・・って何を近づいてくるんだ!?」
「ひどいな、俺は可愛いヴォルフが結婚するときは結婚相手に試練の100や200はさせるつもりなのに」
「どさくさに紛れてで抱きつこうとするな!!何だそれは、お前はユーリにそんなことをさせる気か!?」
「あ、そうか。陛下が相手の場合は陛下割引で10ぐらいになるのかな」
「なんだそれは、お前にそんなことをされる筋合いはない!・・・・・・って」
「(バターン!←扉が開いた)おやおやおやぁ?ウェラー卿にフォンビーレフェルト卿、兄弟そろって何をもめているんだいぃ?明後日はおめでたい席だっていうのにさぁ」
「おや、デンシャム。さっき城に着いたのか?」
「うん、明日は妹の結婚式だからねぇ〜、これを機会にざっくり儲けようかと思って一足先に結婚記念土産物屋の開設や先着100名までの記念結婚冊子なんかを作ろうと思ってねぇ」
「そうか、それは大変そうだな(なでなで)」
「いい加減頭を撫でるな離れろ!おい、デンシャム!兄上の結婚式で儲けようとするなんてせこい真似をする気か!?」
「まあまあぁフォンビーレフェルト卿もぼくの兄弟になるんだし硬いこといわないでくれたまえよぉ。君には身内割引で記念結婚冊子を売るからさぁ。それにせっかく兄弟になるんだから「兄上」と呼んでおくれよぉ」
「いるか!そして呼ぶか!」
「まあまあ、落ち着いて。ところでデンシャム、そんな忙しい中俺たちに何か用かい?」
「そうなんだよぉ、せっかく妹とフォンヴォルテール卿が結婚してウェラー卿とフォンビーレフェルト卿と兄弟になるわけだからぁ。せっかく兄弟になる人にちょっと頼み事をしようかと思ってねぇ」
「頼み事?俺に出来ることなら協力するけれど(よしよし)」
「それはねぇ、ウェラー卿。羨ましいことに君は眞魔国中の女性に憧れられているわけだからさぁ、君に関する本を出版するとこれがバカ売れするんじゃないかと思っているわけなのさぁ」
「俺の本?俺は武人だから君の妹のように小説を書けるわけではないし本を出すといわれても(わしゃわしゃ)」
「ええい、いい加減にしろコンラート!ぼくの髪がめちゃくちゃだ!!・・・・・・おいデンシャム、ちょっと待てコンラートの本を出すだと?そんな本を出すくらいならぼくの日記を出版しろ!ユーリとグレタの愛らしい姿を日々綴っていて絶対に売れるぞ!!」
「あはははぁ、うんそれもちょっことは売れそうだからぁ少数出版でちゃんと出版するつもりだよぉ」
「ちょっことだとぉぉぉぉぉっ!!!?」
「とにかく俺には本を書くことは難しいかと思うんだが?」
「何も書けと言ってないよぉ、せっかく明後日の結婚式にあわせて大量に売るつもりだからさぁそれじゃ明後日には間に合わないじゃないかぁ。
君のちょっとした言葉なんかを集めて短い名言集として売り出すっていう案なのさぁ」
「名言ねぇ・・・・・・」
「そんなものが売れるわけがあるか!ぼくの日記のほうが・・・・・・!」
「ウェラー卿は本当にご婦人に人気があるからねぇ。君のちょっとした言動なんかが人気の秘密だって言うかさぁ、そんな台詞をいくつか言ってくれれば本にするよぉ。
きっとバカ売れして・・・・・・おはっ、おははははははっ!今から笑いが止まらないよぉ〜」
「そんなことを急に言われても・・・・・・」
「おい聞いているのか、デンシャム!!」
「おはははははははぁ、ウェラー卿は本当に人気者でぼくも笑いが止まらないよぉ」
「はは、褒めすぎだよ。俺にそんな人気があるなんて・・・・・・そんなはずがアラスカ」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・え、どうしたんだ二人とも?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ああ!もうそろそろ記念品市の会議を始めないといけないからぁ、僕はもうお暇させていただくよぉ(冷や汗)」
「え、本の出版は・・・・・・?」
「あははははぁ、やっぱり名言集は無理そうだからぁ、やっぱり忘れておくれよぅ」
「え、ちょっと、デンシャム?」
「・・・・・・・・・・・・っは!(正気に戻った)ま、待て、デンシャム!ぼくの日記を出版する件はどうなったんだ!?」
「ああぁ、それも忘れておくれよぉ」
「何だって!?デンシャム、コンラートはともかくぼくの日記を出せないとはどういうことだ!?」
「ちょっと、ヴォルフラム?俺のはともかくってどういう・・・・・・」
「あはははははぁ〜ぼかぁもう行くよぉ〜(逃走)」
「待て〜!」
「お、おい、待て二人とも。どうしたんだ?俺が何かしたのか?お〜い・・・・・?」
うちの次男は三男に邪な心がないときはやたらとくっつきたがるみたいです。べったべたと。
デンシャム、口調が分かるようでわからなかったような・・・・・・難しかったです。
ウェラー卿名言集は本人が気がついていないときに集めるしか作るのは無理でしょう。
コンラートが自分で本を出すとしたらやっぱり「だじゃれ全集」になるんだろうなぁ。・・・いらないなぁ!(酷)