ハッピーポイズンウェディング














そのB〜前日・花嫁とその弟子と母と魔王〜















「・・・・・・・・・・・・ふう(溜息)」


「ねえねえ!アニシナ、今度はこっちを試してみてくれないかしら?」


「・・・・・・・・・・・・(無言で軽く羽織って袖だけ通す)」


「素敵!なんて愛らしいのかしら!ねえねえアニシナ!こちらも着て見せて・・・あら、こっちは凜とした感じで素敵ねえ!」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「アニシナは鮮やかな色が似合うわねえ、この濃い青のドレスはどう?まるで夜明け前の空のように澄んでいて美しいと思わない?」


「・・・・・・・・・・・・ツェリさま、あのですね」


「あら、こっちもいいわねぇ〜。あら、こっちの色も素敵!あらこれはレースが綺麗ねぇ」


「・・・・・・・・・・・・・ツ、ツェリさま、私はそんなに衣装を着ることは出来ないのですが?」


「あら、お色直しをすればいいじゃない?何度にしようかしらね〜お色直し♪」


「!!?・・・・・・ツェリさま、まさか、今までの衣装を全部着ろとは、お、仰いませんよね?」


「あら、それくらい分かってるわよ。
今までの衣装やこれから試す衣装を全部結婚式で着たらそれだけで半年近くかかっちゃうもの・・・・・・それもステキだけど、でもこれは私のかわいいグウェンとアニシナが長い時を超えてついに結ばれるって言う感動的な出来事を国中に知らせる式ですもの。私もアニシナの衣装お披露目だけにはしないわ。
ちょっと残念だけど・・・・・・だって、アニシナはこんな機会でもなければ着てくれないでしょう?」


「まあ、それはそうですが・・・・・・」


「でも安心して!どこの結婚式よりも素敵に美しく見ているだけで幸せになるような愛に満ちあふれた式に私がしてみせるわ!!」


「お言葉ですが、ツェリさま。私は結婚式など元々はするつもりはなかったのですが・・・・・・」


「まあ、アニシナったらひどいわ。私の可愛いアニシナと優しいし素敵だけどちょっとへたれ過ぎて行き遅れが心配だったグウェンが結婚するっていうんだから、私はそれはそれは結婚式を楽しみにしていたのよ〜♪」


「そもそも私とグウェンダルが結婚したからと言って特に何が変わるわけではないのですから、国中に知らせる必要はないと思うのですが」


「まあ、アニシナ、そんな・・・・・・・・・・・・」


「そもそも結婚式など意味がないのです、これまでと変わらず私は眞魔国の発展と女性の地位向上のために実験や事業を続けますし、グウェンダルはもにたあのままです。確かに私はたちは一応結婚しますがそれは形式のことで内実は変わりません」


「・・・・・・・・・・・・」


「そもそも結婚氏など本人たちが決めることですし、それをとやかく知らせる必要はないと思います。
だいたい、結婚式などをすると男が調子に乗って女性をまるで自分の所有物にしたかのように思います、愚かな生物ですからね」


「・・・・・・・・・そんな・・・グウェンは、そんなことは」


「まあ、私もグウェンダルがそこまでどうしようもなく愚かで底抜けの恥知らずだとは思っていませんが、私にもグウェンダルにもそれぞれするべきことが山ほどあります。
だから、結婚式に華美な衣装が必要なのは分かりますがそう何回も衣装を変更する必要など、男の虚栄心を上長する位で、何の意味も・・・・・・」


「・・・・・・・・・(メキ、ボキィ!)」


「・・・・・・・・・・ツ、ツェリ・・・・・・さま?」


「あら、いやだわ。この指輪は不良品かしら?粉々になっちゃったわ。
ちょっと触っただけで壊れるなんて・・・困ったものよね、アニシナ?」


「・・・・・・そ、そうですね、きっと軟弱な男が作りでもしたのでしょう・・・・・・」


「本当に困ったものねえ・・・・・・せっかくきれいにできると思って楽しみにしていたのに、土壇場で台無しになるようなことになって・・・・・・許せないわね(真顔)」


「・・・・・・・・・ツェリさま、指輪の話ですよね?」


「・・・・・・本当はもっと盛大な、三ヶ月関かけてその間ずっと眞魔国中をグウェンとアニシナが回って、国中に知らせて、もちろん一日に十回以上お色直しをするような結婚式できれいにしてあげられると思っていたのに、たった一日で終わることになってしまったけど・・・・・・こんなことになるなんて」


「!?・・・・・で、ですが、そのだから、私にも発酵中の毒の管理もありますし、グウェンダルも執務ともにたあと毒の実験体が!」


「それなのに、結婚式に出ることもなくこんな風に壊れてしまうなんて、かわいそうな指輪ねえ・・・・・・・・・そう思わないアニシナ?(一点の汚れのない笑み)」


「・・・・・・・そ、そう、ですね」


「まあ!アニシナもそう思うの!?やっぱりそうよねえ、ふふ、つれないこと言ってもアニシナも本当は結婚式楽しみにしてるのね!?もうこの照れ屋さん♪(つん)」


「え、いや、それは」


「・・・・・・・・・・・・・・楽しみにしてないの?」


「!?い、いえっ!そ、そんなわけでは・・・・・・わ、私は何であろうと全力を尽くします」


「(がちゃ←ドアが開いた)ツェリさま!アニシナ!ユーリと一緒に結婚衣装運んできたよ!」


「あ!こら、グレタちゃんとノックしないとダメだろ。すいません、失礼しまーす、結婚衣装追加五十着持ってきました・・・・・・って、うわ、アニシナさんキレー!?」


「アニシナかわいい〜」


「へ、陛下!?グレタ!?何故ここに!?」


「まあ、陛下!私ずっと陛下の到着を今か今かと待っていたんですよ!もう私をこんなに待たせるなんて・・・・・・陛下ったら悪い男になって!・・・・・・ささ、今度の衣装はどんなものなの?」


「・・・・・やっぱ衣装なんですよね。ここにありますよ。
あ、これでもう衣装のストックはおしまいらしいです、侍女さんがもうツェリさまが今回の時のためにかき集めていた衣装ダンスがもう空だって言ってました」


「ええ!?もうなの!?そんな〜、せっかくアニシナで着せ替えごっこをする絶好の機会だったのに!
もうもっと集めておくんだった!(がさがさ)」


「・・・・・ツェリさま・・・・・・」


「 まあまあ、アニシナさん。ツェリさまホントーに前から結婚式を楽しみにしてたんだって、そんな黄昏れないで」


「そうだよ〜アニシナに何着せよう、グウェンに何着せよう・・・着ぐるみは結婚式じゃダメかしら?ってずっと楽しみにしてたんだよ?」


「・・・・・・グウェンの着ぐるみ、あ〜でも、なんかもうやっちゃった気が」


「グレタもずっと結婚式楽しみにしてたんだよ!!大好きなグウェンとアニシナが結婚するんだもん!
結婚ってずっとずっーと一緒って約束することなんでしょ?二人にぴったりだよ!」


「そうだな〜、今までも一心同体、いや呉越同舟、無間地獄って感じだったもんな」


「ただのアニシナともにたあです・・・・・・全く、グウェンダルがツェリさまの婚姻届に署名などするから」


「え?気にはなっていたけど、結婚のいきさつってそれなの?」


「ええ〜、グレタはアニシナがグウェンに「永久もにたあ誓約書」を書かせたんでってきいたよ。
あれ、どっちが本当なの?」


「どちらもそう間違ってはいません。
ツェリさまがグウェンダルと結婚しないかと婚姻届を三日三晩私に差し出したので、三日目に私がグウェンダルにこれは「永久もにたあ誓約書」だから署名をしろと言ったら、署名したと言うだけの話です」


「ええ!!?・・・・・・グウェン、なんという自己犠牲精神・・・・・・いや、骨まで染みついちゃっただけかな」


「いくら私が「永久もにたあ誓約書」と言ったからと言って書類にははっきり「婚姻届」と書いてあったというのに、あの男ときたら何も疑わずに署名したのですよ・・・・・・全くこれだから男はちゃんとものを見ていないというのです」


「ええ〜、らぶらぶないきさつは〜?」


「そんなものはあるはずがありません。何故なら私はアニシナで、グウェンダルはもにたあなのですから・・・・・・まあだからこそグウェンダルも「永久もにたあ誓約書」と聞いたら嬉しくていてもたってもいられずに文面を見ずに署名してしまったのでしょうが」


「そ、そんな真相だったんだ・・・・・・でも、グウェンもなんでまた・・・・・・」


「でもでも、それでアニシナは結婚しちゃうの?アニシナが署名しなければ婚姻届は届けられないのに?」


「グウェンダルが「永久もにたあ誓約書」に署名したのならこっちも遠慮なく死ぬまでもにたあを努めるものを受け入れるだけだからです。まあ、元々そのつもりではいましたがこれを機会にはっきりさせようと。
たまたま、その契約が婚姻届という形で決まっただけのこと世間では結婚と思われているようですが、実際は今までと変わらずグウェンダルはアニシナの専属もにたあであり、それ以上でもそれ以下でもないのです。
まあ今回のことでアニシナの「永久」専属もにたあになりましたが、特に変わりはありません」


「あらあら!アニシナまたそんなつれないこと言っちゃって、グウェンとずっと一緒にいられるのが嬉しいってどうして素直に言えないのかしら?もういつまでたっても二人とも意地っ張りなんだから!」


「そっか〜、何にせよ二人は自分の意思で永久に結ばれるんだね、ユーリ♪」


「グ、グウェンは自分の意思かな・・・・・・まあいいけど。
・・・・・・・・・あれ?アニシナさん、その衣装の中に紛れてはいるけれど、どう見ても化学の実験中に使うようなフラスコっぽいもの中に入っている色とりどりの毒々しい液体の数々は一体・・・・・・?」


「ああこれですか。これはアニシナの毒薬品シリーズ第891弾「やるならまるがりだろー」です」


「・・・・・・な、何故こんなものがこんなところに・・・・・・?」


「私が開発したからに決まってるでしょう?
これを使うことで一瞬で髪の色を万色に変化する色鮮やかな色に変わることができます。これは改良を加えたもので全自動で髪の毛の色が極紅色、極青色、極黄色などに時間とともに変化し、どんな見苦しいものでも美しく演出してくれます」


「アニシナが、グウェンのお色直しの回数が自分より少ないのを不満に思って、「男の衣装替えなど増やしても見苦しいだけですから、本人をお色直ししてみるといいでしょう」って言うのよ。もう、アニシナったら冷たいこと言ってばかりなのになんだかんだで楽しみにしてるのね〜。
ああ、グウェンたらどんな色になっちゃうのかしら、楽しみね〜」


「・・・・・・お、お色直しって・・・・・・文字通りの意味じゃ・・・・・・・・・」


「ええ〜、グウェン色鮮やかになっちゃうの〜?グレタ楽しみ〜♪」


「肌の色は変化させると衣装と合わなくなるとツェリさまが言うので今回目と髪の色のみを変化させます。
ああ、もちろんそれだけでは地味なのでこの毛髪爆発材を加えて髪型を劇的に変化させる予定です」


「そ、それってグウェンの許可とかは・・・・・・・・・」


「?陛下、変なことをお聞きになりますね。
グウェンダルの許可など・・・そんなものはこの世の中で一番必要がないものではないですか」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「そうよ〜必要ないわ〜、だってグウェンが色鮮やかになるなんて素敵なこといいことに決まっているもの!」


「・・・・・・・・・・・・えと」



「そうだよ、グウェンの意思なんて関係ないよ〜。だって「永久もにたあ」だもん!」


「・・・・・・・・・・うん、そうだな。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・グウェンがんばれよ〜(ぽそ)」


















続く


















わいわいがやがやに作られていくグウェンの未来の舞台裏でした〜・・・・・・ごめんグウェン・・・・・・・・・・。








2007/10/19